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メットオンして葛西臨海水族園

朝から天気が悪かったので、そろそろ息子に自分用の傘を買ってあげよう、ということになってイトーヨーカドーへ。

息子のブームまっただ中の「炎神戦隊ゴーオンジャー」のパジャマがあったので、傘といっしょに購入しました。

息子が水族館に行きたいと騒ぎ出したので、中耳炎の娘と、嫁さんをウチにおいて、葛西臨海水族園に行くことにしました。
※葛西臨海水族園は、他の水族館に比べてだいぶ入園料とかが安いので、気軽に行けるのです。
息子が大好きなイルカがいないのが欠点ですが、マンボウがいるので許してくれます。

で、今度はパジャマを着たいと言い出したので、ジャンバーの代わりに着せてみました。

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週末と言うこともあって同年代の子たちがたくさんいたのですが、「ゴーオンジャー」への食いつきが凄い!
ざっくり20組くらいの子たちにちょっかい出されてました。(5分に一回は誰かしらになにか言われてた)

あと、葛西水族園はマグロの大群が売りなのですが、今日はなんだか数が少なかったような気が……。
マグロ高騰の影響?

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ブログの引っ越し完了!

 娘が生まれたり、引っ越したり、会社で人がいっぱい辞めて仕事が増えたりで、年初からバタバタしてましたが、やっと落ち着いて来たのでブログを再開しようと決心(?)しました。

 
 で、ついでにブログのお引っ越ししました。
 
 システムが大幅に変わったので、デザインとか変えまくれるんですが、その辺は嫁さんに期待です。(webデザイナーなので)
 
 今はネット上に無料配布されていたテンプレートを使ってます。(これでOKなんじゃないの、って気がしてきました)

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切なさの予感 『氷菓』 感想

氷菓 (角川スニーカー文庫) 氷菓 (角川スニーカー文庫)
米澤 穂信 

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「物事を叙述する文章というものがほとんど自動的に不幸の予感(または気配)を呼び寄せることに気づいた」と保坂和志は書きあぐねている人のための小説入門の中で語っており、保坂和志はその「不幸の予感」を感じさせないように小説をかいているらしいけども、米澤穂信の場合、「不幸の予感」をむしろ丸出しにした文体が特徴であろうかと石之介は感じています。

  で、「氷菓」です。
 神山高校古典部に入部せざるをえなかった奉太郎。そこで出会う少女・千反田えるに論理的思考力?を見込まれた奉太郎は、えるの隠された過去を”思い出させる”ため、神山高校の歴史をひもといていく、というお話です。

 メイントリックについては、驚きは少ないもののその文体も相まって非常に切ない感情を呼び起こすものになっている、と思います。

 また、高校生活で男女がせっかく(?)出会っているのに、ボーイミーツガール的要素は意図的に排除されてるように感じます。匂わせといて否定するという方法で。
 ありきたりな要素はなくそうという試みなのかもしれません。
 
 ただ、米澤作品において、時折描かれるアニメ的お約束シーンが、どうも鼻についてしまうことがあります。好みの問題なのでそういったシーンがあるからこそ好きという人の気持ちもわかりますが、石之介はそこで作品への感情移入が薄くなってしまうのです。石之介が頭の中で描いている登場人物の身体的動作となんだかマッチしないからです。これは読み手のワガママなのかもしませんが。

 お気に入り度=☆☆☆

 このシリーズは続いているようなので、読み続けるつもりです。

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スタイリッシュな救い 『チルドレン』 感想

チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
伊坂 幸太郎

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「自らの価値観にのみ従った行動をしているのに、結果的にその行動によって他人が救われている」という行動様式を持つキャラクターが登場するのが、伊坂作品の特徴だと石之介は考えています。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)』の”河崎”や『ラッシュライフ (新潮文庫)』の”黒澤”などがそうです。
 本作の主人公である”陣内”もそのひとりだと思います。

 彼らはなぜか饒舌で対話者をケムに巻きながらも、その実、”答え”を語っている。
 ”答え”しか言わないから、意図がわからない。そのそも意図を伝える気がない。
 そして行動によって意図を伝える。
 そんな人たちなんです。

 実際こんな人たちがいたら、カッコいいな、と一瞬思ったけども、現実社会ではやっぱり語られた言葉しか他人には通じないから
行動だけで意図を示すってのは難しいと思うんですよね。

 とはいえ、伊坂作品には非リアリズムの部分に快感が潜んでいる(カカシ、とかね)ので、「リアリティがない」という批判は本末転倒だとは思いますが。

 で、『チルドレン』です。
 本作は5つの短編から構成されている物語です。

「バンク」
主人公”陣内”、その友人”鴨居”、盲目の男”永瀬”が銀行強盗に巻き込まれ、人質にされる。でもこの事件はなにかおかしいぞ……、という話。

「チルドレン」
12年後。家裁調査官になっている”陣内”とその後輩”武藤”が、万引き高校生”志朗”の指導にあたるが、”志朗”とその父親の関係に違和感を感じる、という話

「レトリーバー」
家裁調査官を目指して勉強中の”陣内”と”永瀬”、とその恋人”優子”が高架歩道で会話していると、周りにいる人々のようすがおかしい。一見無関係の人々がすわっているベンチから長時間動こうとしない。「世界は止まった」と”陣内”は言うが……。

「チルドレン2」
家裁調査官になっている”陣内”とその後輩”武藤”が、”アキラ”の指導にあたる。また同時に”大和”家の離婚調停も行う。予定調和的だけど、カッコいい話。

「イン」
公園のベンチに座る”永瀬”。そこに通りかかった”陣内”が話しかけてくるが、なにやら周囲と”陣内”の様子がおかしい。何が起きているのか?という話。

 それぞれは独立しているのですが、その中で共通して出てくるエピソードが”陣内”とその父親との関係。

 ”陣内”は彼の父親と仲が悪いのです。で、
 その関係をどうやって”解決”したか、というエピソードが各短編にちょこちょこっと出て来ます。

 5つの短編は時系列ではないので、「結局どうなったか」は早々に明かされるのですが、「どうやってそれを為したか」は最後に明かされたりして、このエピソードだけ追っても楽しい話です。

 あと、”永瀬”というキャラクターもちょっとカッコいいんですよね。
 目が見えない男なのですが、「目が見えない自分に対する世間」に対してすでに達観している感じと、その”永瀬”に対して無遠慮な”陣内”。
 
「おい、それは、本気で言ってるのか」
「盲目の男が言うと、本当っぽいだろ」

 お気に入り度=☆☆☆☆(5点満点中)

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包丁こわい 『黒い家』 感想

黒い家 (角川ホラー文庫) 黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介 

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 生命保険会社に勤める主人公は、ある理由から生命保険詐欺(実は殺人鬼)から命を狙われる、という話です。

 ストーリーに関してはストレートで、サプライズを与えてくれるようなものではありません。
 でも、怖くて、間違いなく面白いです。

 おかしい人が包丁を持っている、っていう状況って、こんなに怖いんですね。
 幽霊とか妖怪とかそういうスーパーナチュラル系の話よりずっと。
 実現可能性が高いし。
 
 で、この怖さとリーダビリティを引っ張ってるのは、貴志祐介の筆力の高さだと思います。
 的確な描写と、過不足ない専門知識に関する説明、と言った文章力に加えて、
 納得感のある登場人物たちの行動。
 (ただ、物語最後の方に登場する”被害者になるためだけに登場するキャラクター”(ホラー作品の宿命?)が
 主人公の命を救う大きなヒントを残すところは少しだけ不自然さを感じました。)
 
 この作品はずいぶん売れたし、映画にもなったしで、今さら言う必要もないですが、傑作です。
  
 お気に入り度=☆☆☆☆☆(5点満点中)
 
 貴志祐介を知った第一作ということで、満点です。 

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男汁たっぷりなのに読後はさわやか 『太陽の塔』 感想

太陽の塔 (新潮文庫) 太陽の塔 (新潮文庫)
森見 登美彦 

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 信じられないことに読後感がとてもさわやかです。
 何でこんなに自虐的で尊大な物言いをする(しかもストーカーめいた行動をとり続ける)主人公の物語がこんなにも良い読後感を与えてくれるのかが不思議で、読み返してみました。

 基本的に些末な事に対して、大仰で冗長な描写が繰り返されるという文体なのですが(面白いのでその冗長さをイヤとは思わないのです)
 読み返してみて気づいたんですが、エンディング近くではスピード感ある文章になってるんですよね。

 主人公の心情と合わせて開けていく(?)んですね。それが気持ちがいいんだな、と。
 不覚にも?ラスト10ページくらいで少し泣いてしまいました。

 ダメな人間がウダウダ言って終わり的な、あまり好きでないタイプの小説かと思っていただけに、このさわやかな切なさには参りました。

 あと、この作品を読むと「京都」のように、文化的に厚みがある地域に住んでいる人に嫉妬してしまいますね。
 石之介は千葉が大好きで、千葉に住居を構えてるのですが、千葉は切なさが足りないですから。温暖で平べったい土地だからですかね。

 お気に入り度=☆☆☆☆☆

 作家が手に入れるべきは、物語ではなく文体である、と石之介は常々思っているのです。
 そういう意味でモリミーはずっと追っていきたい作家の一人です。

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『四畳半神話大系』 感想

四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1) 四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)
森見 登美彦 

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 森見登美彦の魅力的な文体(自意識が高くて自虐的で、でも誠実?な語り口)は「太陽の塔 (新潮文庫)」で如何なく発揮されているのですが、
 本作はさらに文体はそのままに、構成そのものが面白い作りとなっています。

 まず本作は以下の4編で存在します。

 『第一話 四畳半恋ノ邪魔者』
  主人公は大学で映画サークルに入るも、サークルの雰囲気に馴染めない話

 『第二話 四畳半自虐的代理代理戦争』
  主人公と同じ古アパートに住む「師匠」に弟子入りし、振り回される話

 『第三話 四畳半の甘い生活』
  ラブドールを誘拐したり、文通相手に妄想を抱いたりする話

 『最終話 八十日間四畳半一周』
  主人公の住む「四畳半」が別の世界の「四畳半」とつながっていて、そこからはさらに別の「四畳半」につながっていて……、という無限の「四畳半」世界から出られなくなる話

 4編は続きモノではなく、パラレルワールドとして存在しており、
 主人公は冒頭の「ある選択」により、全く別の大学生活を送ることになるのですが、
 それでも共通する出来事に関与していく、という構成です。
 (殺人事件みたいな仰々しいことが起きるわけではないですが)

 それぞれの話を単体として読んでも楽しめるレベルですし、どの話から読んでも楽しめると思います。
 特に『最終話 八十日間四畳半一周』はかなりSF色が強い設定になっていながらも、京都を忘れさせないその語りがそのSF的設定にリアリティを与えています。

 お気に入り度=☆☆☆☆☆
 これはかなり良いマジックリアリズム!
 でも、男子大学生の男汁が嫌いな人はダメかも。

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ダブル受賞の実力や如何に『鼻』 感想

鼻 (角川ホラー文庫 127-1) 鼻 (角川ホラー文庫 127-1)
曽根 圭介 

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 『沈底魚』で江戸川乱歩賞を、本作『鼻』で日本ホラー小説大賞短編賞をダブル受賞した曽根圭介さんですが、本書の解説や他メディアでのインタビューなどを読むと、かなりアウトローな人のようですね。

 大学を中退したときは、「これで道をはずれた」とホッとした。それでも念のために、仕事は傾きかけたサウナの店員を選んだ。

とか言ってるくらい。(しかもその店は潰れ、その次の仕事も辞めている)

 作家や芸人は堕落しているほど良い、て四半世紀より以前のスタンダードな気もするんですけど、でもこの時代にそれを”体現”するってのは中々いや、かなり勇気が必要かと思います。

 新聞か何かの記事でご本人の写真が掲載されていたのですが、ものすごく保守的な印象を受ける外見の方だったので、驚きました。

 実は安定指向が強いため、いったん就職してしまえば定年まで勤めてしまうだろうと思ったからだ。

とも言っているので、その印象にズレはないのかもしれませんが。

 で、本書『鼻』ですが、以下の3作で構成されている短編集です。

『暴落』 個人ひとりひとりが株式市場で価格が付けられて、株価が上がったり下がったりして、主人公の『イン・タム』が右往左往する話です。
 日本人である主人公がなぜ『イン・タム』なんて名前で呼ばれているか、が気になって読み進めちゃいました。

『受難』 気を失って目が覚めたらビルとビルの間に手錠で繋がれていた、という話です。
 このシチュエーションって結構簡単に実現可能だし、実際似たような事件って存在しそうで、そう言う意味で3作品の中で一番怖いです。

『鼻』 ”テング”と呼ばれ差別される人々を、”ブタ”(一般人の呼び方)である「私」が救おうとする話です。近未来の日本を舞台にしているので、SFっぽい匂いもさせているのですが……。
 叙述ミステリと言っても良い作品です。
 各方面でえらく評価が高い作品で、確かによく出来た話なのですが、「私」と「俺」の役割の配置が、都合が良すぎるという印象を受けました。
 2人とも物語のための存在という気がして、感情移入できませんでした。
 短編ってそういうものなのかもしれないけども。

お気に入り度=☆☆☆

 3作品とも良く出来た話なのですが、なぜかあまり感情を揺さぶられませんでした。なぜだろう。
 そのうち再読するつもりなので、その際に追求してみたいと思います。

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極上デスゲーム小説『クリムゾンの迷宮』 感想

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介 

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 石之介はデスゲームものをつい読んでしまいますが、その存在が嫌いです。
 テーマとして”死”を扱うと否が応でも緊迫感が生まれてしまいます。
 だからデスゲームものは著者に作家としての力が足りなかったとしも、ある程度面白くなってしまいます。
 そして、そこに寄りかかっている作家が存在しているという事実が嫌な理由のひとつめです。
 
 で、二つ目のデスゲーム嫌い、の理由。
 ”死”が作為的で、物語の展開として、死ぬや死なざるや、に収束されてしまう為に、読んでいてもサプライズを期待できないのです。
 でも、”死”そのものに含有される緊張につい読んでしまう。そんな読者になってしまう自分が嫌なのです。
 
 しかしながら、エンターテイメント作家の中でも高い文章力を持っている貴志祐介がデスゲームものを書いたとあっては読まないわけには行きません。
 本筋であるデスゲーム部分以外にも様々な謎解きも存在し、舞台も面白い。

  火星の迷宮へようこそ。

 って言われちゃったら、まず”ここどこなの”的興味でひっぱられちゃいます。
 読んでいる時はとても面白く、結局ワンシッティングで読んでしまいました。
 でも、本を閉じたあと、胸に去来するモノがない。なんでだろう。

 スティーブン・キングの「死のロングウォーク」を読んだ時に感じた青春っぽい切なさとかもなかったし。

 お気に入り度=☆☆☆☆(5点満点中)
 否定的な意見を書いてしまいましたが、初見では間違いなく面白いです。
 オススメ度で言ったら☆☆☆☆☆です。

 ちなみに石之介が考えるデスゲームものの定義を以下に示します。
 1.あるルールに乗っ取ったゲームを行い、失敗・敗北へは”死”を与えられる。(死は生物的な死のほか、社会的な死を含んでもよい。多大な借金、生活に支障をきたす肉体の一部分の喪失など)
 2.あるルールはある人物・組織によって規定されたものである。
 3.ゲームの参加者はルールおよび主催者の存在を知っている。

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パズル的群像劇『ラッシュライフ』 感想

ラッシュライフ (新潮文庫) ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎  

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 伊坂作品は、人間と人間の距離感の描き方が良い意味でも悪い意味でも現代っ子的だと石之介は感じます。『私はこう考えますけど、あなたが別のやり方をベストと考えるのは、特に気にしません』『あなたとはあまり話したくありませんが、嫌いな訳ではありません』的な。

 人物同士の関わり方に距離感があるんですね。この感じっては石之介の世代(30才前後)くらいから下の世代にとってはリアルな距離感なんだと思っています。
 で、他への意識が薄い人間がしがちな会話、対話なのか独白なのかわからない台詞の中に伏線があったりして、という伊坂幸太郎が得意なテクニックはその空気の中で描かれているんですね。
 つまりスタイリッシュとかオシャレとか言われがちな伊坂幸太郎の文体は実は伏線を隠すのに適しているんです。
 ガッチリ構築されたトリック殺人を論理的に暴いていく、みたいなのが好きな人は嫌いな作家かもしれません。

 で、『ラッシュライフ』です。
 これは4つの物語が同時に描かれていて、それぞれのエピソードが絡み合っていくという構成になっています。
 1 泥棒の黒澤
 2 神様”高橋”を信望する塚本と河原崎
 3 お互いの配偶者を殺そうとしている京子と青山
 4 リストラされた無職の豊田。と老犬。
 この作品はそれぞれのエピソードの”解決”だけでも楽しめるのですが、他のエピソードに対してどう繋がるか、どう影響を与えているか、という部分でも楽しめるお得な作品です。
 石之介的には4の話がグッと来ちゃいます。敗北者と老犬。切なくて最高。

 お気に入り度=☆☆☆☆(5点満点中)