包丁こわい 『黒い家』 感想

黒い家 (角川ホラー文庫) 黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介 

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 生命保険会社に勤める主人公は、ある理由から生命保険詐欺(実は殺人鬼)から命を狙われる、という話です。

 ストーリーに関してはストレートで、サプライズを与えてくれるようなものではありません。
 でも、怖くて、間違いなく面白いです。

 おかしい人が包丁を持っている、っていう状況って、こんなに怖いんですね。
 幽霊とか妖怪とかそういうスーパーナチュラル系の話よりずっと。
 実現可能性が高いし。
 
 で、この怖さとリーダビリティを引っ張ってるのは、貴志祐介の筆力の高さだと思います。
 的確な描写と、過不足ない専門知識に関する説明、と言った文章力に加えて、
 納得感のある登場人物たちの行動。
 (ただ、物語最後の方に登場する”被害者になるためだけに登場するキャラクター”(ホラー作品の宿命?)が
 主人公の命を救う大きなヒントを残すところは少しだけ不自然さを感じました。)
 
 この作品はずいぶん売れたし、映画にもなったしで、今さら言う必要もないですが、傑作です。
  
 お気に入り度=☆☆☆☆☆(5点満点中)
 
 貴志祐介を知った第一作ということで、満点です。 

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