女王様と私 角川書店 2005-08-31 by G-Tools |
どんでん返しモノで『物語に裏切られたい』という気持ちが沸いてきて、「ならば歌野 晶午作品を読もう」なんて本書を手に取りました。
表紙も可愛かったし。
歌野 晶午作品を読む時は、著者本人がそう望んでいるかどうかは別として、そういう期待を抱かざるを得ません。
ストーリーはざっくり言うと、
オタクである主人公が美少女に翻弄されているうちに、大変なことに巻き込まれていく、
という、ちょっとベタなストーリーなのです。
が、随所に期待していた『裏切り』が散りばめられており、飽きさせません。
だったはずなのですが……。
=========以下、重大なネタバレ含みます。=========
ネット上でもラストについては、賛否両論(否が多い)ありましたが、自分も是とは言えません。
実はこの物語の大部分は主人公の妄想なのです。
現実と現実に挟まれた妄想。
少女たちとの楽しいやりとりや、ヒーロー的行動も全て妄想なのでした。
夢オチみたいなものですが、でも、私はそのこと自体に否定的になっているわけではありません。
私が気になっているのは、その妄想の部分で決着がついていない、という点なのです。
正確に言うと『謎』という点では決着は付いているのですが、主人公がピンチを切り抜けていないんです。
そこが非常に納得いかなかったのです。
『全ては作り話でした』というオチを持ってくるなら、作り話の部分は完全に決着をつけるべきだと思うのですよ。
そうしないと、本当に「何でもアリ」になっちゃいますから。
そもそも小説なんて妄想そのものではありますが、だからこそ決着が必要なのです。
お気に入り度=☆☆☆
否定的なことを書いてしまいましたが、リーダビリティは高いし、登場人物たちのやり取りを楽んだり萌えたり(?)できると思います。
真犯人の母親の言い草とか、ひどすぎて最高です。
Grade A stuff. I’m unqeutsinoably in your debt.