魔王 (講談社文庫 い 111-2) 伊坂 幸太郎 講談社 2008-09-12 by G-Tools |
文庫版が発売されていたので、手に取ってみました。
ストーリーはこうです。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。
わけのわからない問いやオシャレな会話が実は伏線で、最後に思わぬ角度で収束していく、という箱庭的な気持ちよさを伊坂作品に期待しているのですが、本作はそういう部分で物足りなく感じました。
もしかしたら「答えを出さない」というのが本作でのスタンスなのかもしれません。
なぜなら、安藤兄弟の能力も”敵”の能力も本当に存在するかどうかは明示されておらず、その能力がもたらしたであろう結果も偶然の産物だ、といえなくもない書き方をしていますし。
悪役であればスッキリする犬養に関しても、絶対的な存在であるようには書かれていません。(と石之介は思います)
またテーマは政治、ではなく、マジョリティの中で示すマイノリティの矜持、だと認識していますが、残念ながら本作ではマジョリティの顔があまり見えないのが残念です。
批判めいたことを書いてしまいましたが、気に入ったフレーズはいくつもありました。
詩織の「(ネタバレなので略)〜。 たかだか死んだくらいで」とか。
お気に入り度=☆☆☆
何か物足りないです。続きがあるなら読みたい、と思ったら、
モダンタイムス (Morning NOVELS)
ってそんな位置付けなのかな。
週刊モーニングで連載されていたのは知ってたけど、読み飛ばしちゃってました。