力を持った狂人は止めることが出来ない。 『楽園への疾走』感想

4488016472 楽園への疾走 (海外文学セレクション)
増田 まもる
東京創元社 2006-04-22

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 読むの疲れた〜。
 グダグダしたディストピアものです。疲れます。
 
 環境保護活動という名で繰り広げられる、頭がグラグラするような南の島での生活。
 そこではドクター・バーバラという中年の女医さんが絶対的な権力を持つに至り、ついに始まる惨劇。

 このドクター・バーバラという人間はやっぱり登場した当初からちょっと頭のおかしい言動が多いんですよ。
 とはいえ、許容可能というか、まあその辺にいそうなレベルのおかしさではあります。
 
 ところが、南の島の生活が逼迫してくるのと連動してどんどん狂気が増していくんです。
 「こういう人が力を持つと危険なんじゃないか」と思わせる人っていますが、ドクター・バーバラもそんなタイプです。

 でも、その発言力・行動力からか周りの人間からは持ち上げられ、ドクター・バーバラをトップとした体制が確立されちゃいます。
 で、逃れられない惨劇に至るのです。

 正しいかどうかは別として「断言する人」というのは一定の力を持ちやすく、考えたくない人や疲れちゃった人なんかはそういう人の言うことを盲目的に信用してしまう。

 その危険性をドクター・バーバラとその他の人たちは体現しているんだと思います。
 
 また、この作品にはもう一人の主人公・ニールという青年がいるのですが、キャラクター配置を考えると、こういう人物にはノーマルな思想と視線を持たせて、読者に共感を感じさせる役割を担わせたりしそうなもんですが、そこはさすがバラード。
 ドクター・バーバラの次に変態なのはニールなんですね。

 熟女好きのマゾの変態なんです。
 あからさまではないんですけどね。

 お気に入り度=☆☆☆☆

 いやホント、なんだろう、この疲労感は。
 でも、読み切れていない感覚が残っています。
 
 いつか、また再読したいと思います。

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